フリーアナウンサーの加藤綾子が、この4月よりテレビ東京系の人気ロケ番組『なぜソコ?+』に新MCとして出演を始めた。2021年に結婚し、翌年10月より一時休業に入っていた加藤にとってこれが2年半ぶりのレギュラー番組となる。休業の理由の一つは「家族との時間をより大切にしたい」というものであったが、昨年暮れには第1子を出産し、家族に新たな一員が加わったばかりだ。そのなかできょう4月23日、40歳の誕生日を迎えた。
周知のとおり、加藤は2008年から2016年まで8年間、フジテレビに在職した。同局では入社早々、テレビに出ないうちから注目される。音楽大学卒という当時のアナウンサーでは珍しかった学歴に加え、就職活動ではフジだけでなく日本テレビとTBSからも内定をもらったと伝えられていたからだ。週刊誌などでは「スーパー綾子」なる異名もつけられた。
折しもフジでは人気アナウンサーだった高島彩の退社が噂されており(実際に退社するのはその2年後の2010年)、その後釜とも目された。入社から半年後には、歴代の新人女性アナウンサーから1人(そのなかには高島も含まれる)がMCを務めてきた深夜のトーク番組に抜擢されたことからも、社内で期待されていたのはあきらかだ。ちなみにこの番組のタイトルは、初代の千野志麻の『チノパン』以来、MCの名前の一部に「パン」をつけるのが慣例となっており、加藤のときは『カトパン』と題されている。
とはいえ、加藤は最初からアナウンサー志望だったわけではない。5歳からピアノを習い、子供の頃はピアニストになるのが夢だった。その夢は国立音楽大学の附属高校に入学し、周りのレベルの高さを目の当たりにして断念したものの、その後は音楽の先生になるつもりで、大学で教員免許も取っている。幼い頃から音楽に親しみ、しかもおしゃべりだったという彼女なら、きっと先生になっても子供たちにその楽しさを伝えられていたことだろう。しかし、大学時代、ある出来事をきっかけに一転してアナウンサーを目指すことになる。
きっかけとは、当時付き合っていた男性からの何気ない一言だった。社会人になったばかりだった彼氏は、あるとき加藤に「君には何か魅力が足りない」「先生になるのが目標というけど、どうしてもなりたい、というふうにも見えないし」といきなり指摘したかと思うと、「たとえば、毎日違う情報を伝えるアナウンサーなんて、すごく刺激的な仕事でしょ。魅力的な女性になれるかもね」と勧めたという(加藤綾子『あさえがお』小学館、2016年)。
恋人からの助言にすっかりその気になった彼女は、アナウンサースクールに通い始めた。そのかいあって、大学3年の10月頃にはフジから内々定をもらったものの、その彼氏には同時期に浮気が発覚し、けっきょく別れたという。彼は加藤に素質を見出したというわけではなく、単にミーハーでそう言ったにすぎなかったようである。
ところで、加藤がかつてメディアで披露したフジの入社試験の際のエピソードが、最近になってネットで波紋を呼んでいる。ネットで俎上にのぼっているのは、加藤の過去のテレビでの発言のようだが、彼女は週刊誌の対談でも同じ話をしていた。それは、面接で「セクシーポーズをとってください」と言われたというものだ。
これに加藤はどう反応したか、彼女の発言を引用すると、《私、「えっ」と思って、スカートをつまんでちょっと上げたんですよ。私が女性の中で最初に面接を受けたんですが、あとで他の人に「ねえ、セクシーポーズ、何した?」って聞いたら、みんな言われてないんです。私が変にやりすぎてしまって、質問自体なくなっちゃったんです(笑)。会社としては軽い笑いの質問だったのに、ほんとに「ごめんなさい」みたいな(笑)》(『週刊朝日』2016年12月9日号)。対談ではこの発言の前に、面接で同じ質問を受けた先輩アナウンサーの反応について語られているので、おそらくフジではこの質問が恒例となっていたのだろう。
加藤が笑い話としてかつて語っていたものが、昨年暮れ以来、出演タレントの性加害とそれに対するフジテレ...
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